スライド作成ツールを使ってみたけど、思ったような仕上がりにならない。
テンプレートにピッタリ合う内容ならいいけれど、手を入れるとそのページだけ違和感が出てしまう。
そもそもどのテンプレートが合うのかもわからないし、探しているだけで時間が過ぎる。
そんな時に頼りになるのがAI資料作成ツール「イルシル」です。
作りたい資料や盛り込みたい内容を言葉で伝えると、AIが構成や本文を考え、スライドの見た目まで整えてくれます。
使いこなすことができれば、業務時間短縮の強い味方になるはずです。
一方で、AIによる資料作成はイルシルだけの機能ではありません。Canva・ミリキャンバス・Gammaなど、ほかにも選択肢があります。
同じAI資料作成といっても、ツールごとに得意分野は異なりますし、業務利用で注意するべき点も違います。
では、イルシルには、これらのツールと比べてどのような特徴や利点があるのでしょうか。
この記事では、イルシルの資料作成を実際に試し、特徴と他のツールとの違いを確認。無料版の制限や料金プラン、契約・著作権・データの扱いなど、業務で利用する際の判断材料を解説します。
イルシルとは?AIでスライド資料を作成・編集するツール
イルシルは、株式会社イルシルが提供するAIスライド作成サービスです。2022年9月のリリース後、2023年4月にChatGPTを搭載し、キーワードから構成・文章を生成できるようになりました。
AIスライド生成として国内でも知名度の高い「Gamma AI」が公開されたのが2023年3月ですので、かなり早い段階からAI資料生成に取り組んでいたサービスといえます。
日本のビジネスシーンに合った資料作成を強みとする国産ツールとして支持を広げており、2026年4月には累計ユーザー数が30万人を突破しました。
イルシルでできること|資料生成とページごとのレイアウト調整
イルシルは、営業資料や社内会議用の資料などを作成するのに適したサービスです。
主な機能は次の通りです。
- テーマや原稿から資料を生成する
キーワードや用意した文章をもとに、AIが構成・本文・スライドのデザインを作成します。 - ページごとのレイアウトを調整する
表示された候補から、内容に合う見せ方を選び直せます。 - 生成した資料を編集する
文章を書き換えたり、画像や図形を追加・調整したりして、資料を仕上げられます。
どのように使えるのか、具体的に見ていきましょう。
この章では、「小さな会社のSaaS判断ラボ」を広告主に紹介する媒体資料の作成を例に、各機能を紹介していきます。
テーマや原稿から資料を生成する

イルシルでは、テキストからスライドを生成することができます。
まだ内容が固まっていない場合はテーマから、盛り込みたい情報が決まっている場合は原稿やメモから作成を始められます。
「小さな会社のSaaS判断ラボ」の媒体のテーマや想定読者、編集方針などを入力し、6枚程度の資料にまとめることを指示したところ、次のような構成の資料が完成しました。
- 表紙
- 媒体の概要
- 想定読者と悩み
- 記事の作り方
- 広告掲載で提供したい価値
- まとめ
媒体のテーマや編集方針などの主要な内容は反映されており、文字が重なって読めなくなるような崩れも見られませんでした。
一方で、原稿や指示がすべて意図どおりに反映されたわけではありません。
想定読者に添えた「実際の読者属性を調査した結果ではありません」という注記は省略され、制作上の指示である「成果を保証する表現はしない」が本文に残ってしまっていました。
残したい情報が抜けていないか、指示文が本文に混ざっていないかなどについては生成後に確認する必要がありますが、構成・本文・デザインをまとめて作れるため、資料のたたき台としては十分に役立ちそうです。
ページごとのレイアウトを調整する

生成した資料の見た目を調整したい場合は、ページごとにレイアウトを選び直せます。
編集画面の下部には「おすすめ」として、選択中のページの別のレイアウト候補が並びます。候補を選ぶことで、見出しや本文の配置、装飾などを変更できます。
ページごとにおすすめのレイアウトを自動提案してくれる機能自体は他のツールにもありますが、最初から候補を表示してくれているのは思った以上に便利です。
統一感を損なわないレイアウトを探す手間も少ないため、デザインに自信がない人でも修正を行いやすいのは、イルシルの強みの一つと言えるでしょう。
生成した資料を編集する
生成したスライドは、文章を書き換えたり、画像や図形を追加・調整したりして編集できます。内容の確認で見つかった修正点も、生成後に手を入れられます。
例えば今回生成した媒体資料では、制作上の指示である「成果を保証する表現はしない」という文言が資料に含まれてしまいましたが、この箇所を選択すれば削除したり別の文言に差し替えたりできます。
テキストの修正以外ももちろん可能です。「ここにグラフが欲しいな」「関係性をイラストで表せないか」。そんな場合も、上部メニューから必要な要素を選んで追加できます。
生成した資料を土台に、必要な箇所を修正して仕上げられるわけです。
もっと便利に!「AIデザイン生成」機能

ここまで紹介した作例は、AIが構成や本文を考え、既存のテンプレートを使ってスライドにまとめる通常生成で作成したものです。
イルシルには、レイアウトやデザインそのものをAIが一から作る「AIデザイン生成」もあります。作成画面で「AIデザイン生成」をONにすると、この方式で資料を生成できます。
AIデザイン生成をONにして作成したものを通常生成のものと比べてみると、図解や補足説明などが使われ、情報量がかなり増えている印象です。
例えば「記事の作り方」のページは、短い3項目の説明から、調査・検証・向き不向きの整理を矢印でつなぐ工程図へと変わりました。各工程には見出しや箇条書きの説明も加わり、作業の流れを示す資料になっています。
テンプレート感が消えており、一発生成でも「それなりに手をかけたように見える」資料が出来上がる印象です。
無料プランでは使える回数に制限がありますが、業務利用では強い味方になりそうです。
イルシルの特徴は?Canva・ミリキャンバス・Gammaとの違い
AIを使って資料を作成できるサービスは、イルシルだけではありません。
CanvaやミリキャンバスにもAIによるプレゼンテーション作成機能があり、Gammaもテーマや原稿から資料を自動生成できます。
では、その中でイルシルを選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。
ここでは、実際に使ってみて感じた他のツールとの違いを軸に、イルシルの特徴を整理します。
AI生成で資料作成に悩みにくい
イルシルは、AIによるスライド生成を大きな特徴としています。
テーマや原稿を入力すれば、構成を考え、文章を作り、スライドのデザインまでまとめて生成してくれるため、ゼロから資料を作る場合と比べて時間を短縮できます。
AIによるスライド生成という点では「Gamma」も有力な選択肢ですが、生成される資料にはGamma独自のデザイン傾向が表れやすいように感じます。
その点、イルシルは日本のビジネスシーンを意識した資料作成を特徴としており、国内企業の営業資料や社内資料として違和感の少ないデザインに仕上げやすいことは強みと言えるでしょう。
レイアウト候補が見つけやすく、調整に迷いにくい
イルシルは、AIで資料を生成するだけでなく、生成後のレイアウトも簡単に変更できます。
各ページには内容に合ったレイアウト候補が表示されるため、「このページだけ少し変えたい」という場合でも、自分でテンプレートを探したり、一から配置を考え直したりする必要がありません。
Canvaやミリキャンバスにも豊富なテンプレートがありますが、選択肢が多い分、どれを選べばよいのか迷うこともあります。
候補から選びながら調整できるイルシルは、デザインに自信がない人でも資料全体の雰囲気を崩さず修正しやすい仕組みになっています。
イルシルはデザインが苦手な人のためのAI資料生成ツール
AIによる資料生成という点では、イルシルはGammaと競合しますが、日本のビジネス資料として使いやすいデザインに仕上げやすい点に特徴があります。
SNS画像やチラシ、動画なども作れる総合的なデザインツールであるCanvaやミリキャンバスに比べれば、スライド資料の作成に軸足を置くイルシルが得意とする領域は狭いかもしれません。
しかし、「何を作るためのツールなのか」が明確な分、機能やデザイン選びで迷いにくいのはメリットといえるでしょう。
デザインに自信がない人でも、AIの力を借りながらビジネス資料を作るためのツール。
ここまで見てきた特徴を総合すると、これがイルシルの立ち位置だといえそうです。
イルシルの料金は?無料版でどこまで使える
イルシルには、無料で利用できるフリープランのほか、個人向けの「パーソナル」「パーソナルプラス」、企業向けの「法人」プランがあります。
| プラン | 料金 | AIデザイン生成 | 資料作成数 | PDF・PowerPoint出力 |
|---|---|---|---|---|
| フリー | 無料 | 3枚/月 | 3個まで | × |
| パーソナル | 月額1,848円(税込) | 40枚/月 | 無制限 | ○ |
| パーソナルプラス | 年額66,000円(税込) | 200枚/月 | 無制限 | ○ |
| 法人 | 要問い合わせ | 500枚/月・1人あたり | 無制限 | ○ |
資料作成数は有料プランでは無制限になっていますが、フリープランの場合は3個までに制限されています。これは保存できる資料が3個までという制限であり、作成済の資料を削除すれば新たに作ることは可能です。
通常生成よりも高機能な「AIデザイン生成」はフリープランで月3枚までで、プランが上がっていくごとに上限が上がっていく仕組みです。
無料版でも通常生成・編集は利用できる
フリープランでも、スライドの生成、レイアウト変更、文章の編集など、基本的な機能は使うことができます。
AIデザイン生成の基本枠は月3枚ですが、「AIデザイン生成」で資料全体を作成する機能を月1回利用できます。資料全体を生成する際に途中で止まるわけではなく、その資料の生成を終えた段階で使えなくなるようです。
検証では、残り3/3枚の表示を確認した後に6枚構成の資料が完成し、その後の残数は0/3枚になりました。
AIデザイン生成の枠を使い切っても、既存のテンプレートを利用する通常生成は利用できます。品質に満足できるのであれば無料版を継続して使うのもありでしょう。
ただし、無料版ではPDFやPowerPointとして出力できず、スライドショーにはイルシルのロゴが表示されます。
「見本として表示する」「自分で資料作成する前のアイデア出しとして利用する」など、使えるシーンは限られるかもしれません。
ファイル出力が必要なら「パーソナル」が選択肢
作成した資料をPDFで配布したり、PowerPointに書き出して編集・提出したりする場合は、パーソナル以上のプランが必要です。
パーソナルでは資料数が無制限になり、AIデザイン生成も月40枚まで利用できます。
個人で資料制作を請け負うデザイナーや、営業資料・提案書を作るフリーランスなど、1人で作成から納品まで行う人には、まず検討するプランです。
チーム機能が不要で、この生成枠で足りるなら、パーソナルが選択肢になります。
AIデザイン生成を多く使う・チームで資料を作るなら「パーソナルプラス」
パーソナルの月40枚ではAIデザイン生成の枠が足りない場合や、複数人で資料を共有・編集したい場合は、パーソナルプラスが候補になります。
ほかの利用者を同じ作業スペースに招待し、資料を共有・編集できる「メンバー招待」や、よく使う資料・スライドを登録して再利用できる「ライブラリ機能」にも対応します。営業資料の会社紹介やサービス説明などを、チームで使い回したい場合はこちらを検討してもよいかもしれません。
料金は1人あたり年額66,000円の年間契約・クレジットカードによる一括前払いです。共同利用する人数分の料金がかかるため、チーム全体の総額で検討しましょう。
請求書払い・導入支援が必要なら「法人プラン」
請求書払いで契約したい場合や、導入時の研修・運用相談を受けたい場合は、法人プランが候補になります。
自社テンプレートの登録、IPアドレス制限、指定のセキュリティチェックへの個別対応など、会社として導入・管理するための機能や対応が用意されています。社内の購買・セキュリティ要件に合わせたい企業や、担当者だけで導入を進めることが難しい企業に向いたプランです。
料金は要問い合わせで、自社テンプレートの登録には別途費用がかかります。必要な機能や支援内容、利用人数を伝えて、契約条件を確認するとよいでしょう。
イルシルは業務利用に「強い」のか|契約・著作権・データの扱い
ここまで見てきたように、イルシルは日本のビジネスシーンに合う営業資料や社内資料の作成・調整に強みがあります。
とはいえ、企業で資料作成ツールを導入する場合は、機能だけでなく、契約条件や作成した資料の利用範囲、入力した情報の扱いも重要です。
では、イルシルはこうした点でも、企業が取り入れやすいサービスなのでしょうか。公式の利用規約やデータの取扱方針をもとに確認していきましょう。
日本法に基づく契約で導入を検討できる
イルシルの利用規約では、利用契約の準拠法を日本法としています。また、契約に関する紛争の第一審の裁判所は、東京簡易裁判所または東京地方裁判所と定められています。
海外サービスでは、外国法が準拠法となっていたり、海外の裁判所や仲裁による紛争解決が定められていたりする場合があります。
例えば、解約や返金、サービス停止時の責任を巡って意見が対立すると、その国の法律に詳しい専門家への確認が必要になることがあります。海外での法的手続きに進めば、弁護士への依頼や翻訳などの負担も考えられます。
契約に法務部門の確認が必要な会社や、日本法に基づく契約が社内要件となっている会社もあることを考えると、イルシルは導入しやすいサービスといえるかもしれません。
商用利用や資料作成代行で使える
イルシルで作成した資料は、商用利用が認められています。自社の営業資料を作る場合だけでなく、顧客から依頼された資料を制作する用途にも利用できます。
作成した資料の権利は、サービス自体を構成する素材などを除いて利用者に帰属します。また、利用者に権利が帰属する資料について、運営側への使用許諾はサービス提供に必要な範囲に限定されています。
例えばミリキャンバスには、入力データやAI成果物を自社サービスのマーケティングや改善に利用する権限を運営側に認める条項があります。
作成した資料について、運営側に認める利用範囲が限定されている点も安心材料の一つと言えるでしょう。
ただし、イルシルが提供するイラストやテンプレートをそのまま配布・販売したり、商標登録したりすることは認められていません。また、Web画像検索で追加する画像は、引用元サイトの利用条件を確認する必要があります。資料を配布・納品する際には、含まれる素材の利用範囲にも注意しましょう。
入力データをAI学習に利用しない方針が示されている
AIで業務資料を作る際は、入力した文章やアップロードしたファイルが、AIの学習に使われるかどうかも気になるところです。
イルシルは、利用者の事前の明確な同意なく、入力データを自社AIモデルの学習や性能向上に利用しない方針を示しています。また、外部AIはAPI経由で利用し、その提供先が入力内容を学習しないことを確認していると説明しています。
法人向けの案内では、作成した資料を国内のデータセンターに保管することも明記されています。
ただし、資料生成の処理には外部のAIサービスが使われます。国内保管の説明だけで、すべての処理が国内で完結すると判断することはできません。顧客情報や未公開の事業計画などを扱う場合は、社内規程や取引先との契約に沿って、入力できる情報の範囲を決めておきましょう。
まとめ|見た目の調整に手間をかけたくない人に向くイルシル
イルシルは、デザインに自信がなくても、ビジネス資料の見た目を整えやすいAIスライド作成ツールです。
今回の検証では、通常生成でも資料のたたき台を作成でき、ページごとのレイアウト候補から自然に調整できました。AIデザイン生成では、図解を含む、より作り込まれた資料も生成されています。
生成後の内容確認は必要ですが、配置や装飾を自分で考え、細かく修正する負担を減らしたい人には、有力な選択肢になるでしょう。契約や作成資料・入力データの扱いも、企業で導入を検討する際の判断材料になります。
まずは無料版で、普段作っている資料の原稿を使い、仕上がりや操作感を確認してみてください。PDF・PowerPointでの配布や納品が必要になったら、生成量やチーム利用の有無に合わせて有料プランを選ぶとよいでしょう。


