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Eight名刺アプリは危険なのか?個人利用が会社リスクになる理由を情シス目線で整理する

無料から始められる名刺管理アプリ「Eight」。利便性は高いが、企業現場ではルール設定をしておかないと危なく見える場面も

Eight名刺アプリは数ある名刺管理システムの中でも知名度が高く、無料から始められることから導入候補に挙がりやすいサービスです。

その一方で、企業での利用を考えると「少し危ないのでは」と感じる人もいるようです。

なぜそう感じるのでしょうか。

結論から言えば、Eight自体が危険なサービスというわけではありません

しかし、Eight特有の人と人とのつながりを前提とした「ビジネスSNS」的な性格や、無料版の機能制限などが重なることで、企業にとって予期しないリスクが発生する可能性があることも事実です。

無料から始められるサービスだけに、会社が把握できないところで社員が利用を始めているケースもあり得ます。

だからこそ、このサービスの特性を理解し、企業としてどう向き合うかをあらかじめ考えておくことが重要なのです。

本記事では、Eightが「危険」と感じられやすい理由を整理したうえで、法人利用で見落としやすい注意点や、導入前に決めておきたいルールを情シス目線で考えていきます。

判断の全体像

Eightが名刺管理アプリが「危険」と感じられる理由

Eightは知名度が高く、広く利用されている名刺アプリですが、法人として利用する際には注意すべきポイントもあります。

そのポイントを大きく分けると名刺管理アプリ全般に共通するものと、Eight特有の設計、無料版の制限から生じるものが混ざっています

このポイントを一つ一つ見ていきましょう。

人力補正|名刺管理アプリ共通の注意点

名刺管理アプリでは名刺を撮影・スキャンしてデータ化する際、人手を使った補正が入ることがあります。この人力補正は、名刺管理アプリが「危険性」という文脈で語られる要因の一つかもしれません。

Eightの利用規約でも、

Eightサービスでは、名刺等の情報のテキスト化処理等について、クラウドソーシングを利用しています。

と明記されています。

画像からテキストを読み取るOCR(光学文字認識技術)では限界があるため、人の手で精度を高めているわけです。

改めて聞くと抵抗感を覚える人もいるかもしれませんが、これはEightだけの問題ではなく、多くの名刺管理アプリがこの方式を採用しています。

Eightが特別に危険というより、名刺管理アプリを使う以上、どこまで許容するかを社内で決めておく必要があると考えた方が実態に近いでしょう

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「個人起点」のビジネスSNS|Eight名刺アプリの設計思想

Eightは、個人にアカウントが付与される設計になっています。

入手した名刺データは、その個人アカウントを起点に蓄積されていきます。この発想は企業向けであるEight Teamでもある程度共通しており、チームの管理者はユーザーを「招待」したり、チームから「解除」したりできますが、個人のEightアカウントを自由に処分できるわけではありません。

招待を受ける人がEightアカウントを作って参加することが前提であり、Eight Teamでも個人アカウント起点の設計が残っています。

また、Eightは単なる名刺管理アプリではなく、「ビジネスSNS」としての性格を持っています

この設計は、営業や採用のように人脈が価値になる場面では強みになります。一方で顧客接点が会社ではなく個人にひもづきやすい、という見方もできます。

名刺のデータは取引先の連絡先情報であり、営業秘密に該当する可能性もあります。

退職時にそのデータをどう扱うかをあらかじめ定めておかないと、思わぬトラブルが発生する可能性があるのです。

「気軽に始められるのに、後から整理しにくい」|無料版の注意点

企業にとって気をつけたいのは、気軽に始められる一方で、後から整理しにくいことです。

Eightには無料版が設けられているため、個人でも気軽に始められます。

しかし、Eight無料版にはエクスポート機能がなく、名刺データを共有することができません。

利用者が異動・退職する際に名刺データを受け取るには、有料のEight teamなどにアップグレードする必要があります。

最初から有料プランを視野に入れ、試験的に無料版を導入するのなら問題ありませんが、意図せず無料版が社内に広がってしまうと、選択肢が狭まってしまう恐れがあります。

少なくとも無料版を社内に自然拡大させる使い方は、企業運用としては慎重に考えべきでしょう。

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Eight Teamでどこまで解決するか

ここまで見てきたように、Eight無料版は個人で気軽に始めやすい一方で、会社としては後から整理しにくい面があります。

では、有料のEight Teamを使えば、こうした問題はどこまで解決するのでしょうか。

名刺情報をチームで共有できる

Eight Teamを使えば、少なくとも「社内で名刺を共有できない」という無料版の問題は解消します。

どの名刺を共有するかは個人が選ぶこともできるため、必要な名刺だけを共有するという運用も可能です。

無料版のように個人の中だけに名刺が閉じるのではなく、会社として一定の見える化がしやすくなる点は、企業導入の大きなメリットといえるでしょう。

会社側でメンバー管理ができる

Eight Teamでは、管理者は新たにメンバーを招待したり、既存メンバーを解除したりできます。

会社側から利用の道筋を作れば、個人が勝手に使い始める「野良アカウント」が乱立するのを一定程度防ぐ事が出来るでしょう。

こうした統制が効きやすくなることは、管理するうえで大きなメリットといえます。

Eight Teamでも残ること

一方で、Eight Teamにしたからといって、前に挙げた問題がすべて解決するわけではありません。

Eight Teamにしても、残る問題を確認しておきましょう。

「個人起点」という設計思想

Eight Teamはあくまで「個人のアカウント」をチームに参加させるという発想で設計されています。

名刺は「共有」することはできますが、あくまで「共有」であり、個人のアカウントを起点とする構造は残ります。

退職者が出た際に、チームの管理者は該当者のアカウントを「解除(チームから外すこと)」はできますが、その個人アカウント自体を自由に処分できるわけではありません

「アカウント作成に使うメールアドレスを、会社が付与したものに限定する」などのルールを設定すれば、退職者が出た際にはメールアドレスを停止することで一定の管理が可能にはなります。

しかし、Eight Teamを利用する場合でも、こうした工夫が必要であるという点には注意が必要でしょう。

ビジネスSNSという特性は残る

有料版のEight Teamでも、ビジネスSNSとしての特性は消えません。

名刺情報を共有できることによって一定の情報共有は可能になりますが、顧客との接点が個人に紐づきやすい状況には変わりありません

この特性が自社にとって強みとなるか、弱みとなるかは導入前に判断しておくことが必要でしょう。

無料版の問題をかなり緩和できるが、完全には消えない

このように、Eight Teamを導入すれば、無料版で起こりやすい「個人に名刺が閉じる」「社内で把握しにくい」といった問題はかなり改善できます。

一方で、個人アカウントを起点とする設計や、ビジネスSNSとしての性格まではなくなりません。

そのため、Eight Team「有料にすればすべて安全になる仕組み」というより、会社がルールを決めたうえで、無料版より管理しやすくするための仕組みと考えた方が実態に近いでしょう。

退職時に何が起きるのか|Eight運用で最も注意すべきポイント

Eightを企業で利用する場合、最も注意したい場面の一つが退職時です。

普段は便利に使えていても、社員が退職する段階になると、

  • 名刺データをどう扱うのか
  • アカウントを残すのか削除するのか
  • 顧客との接点をどこまで整理できるのか

といった問題が一気に表面化します。

ここまで見てきた無料版Eight Teamの特性を踏まえ、退職時に何が起きるのかを見ていきましょう。

無料版では、対応が本人任せになりやすい

Eight無料版を社員が個人利用していた場合、会社側でできることには限界があります。

会社としては「退職時に名刺データを削除してほしい」と考えても、アカウント自体は個人のものとして使われているため、実際の対応は本人任せになりやすいからです。

しかも、無料版では名刺データを社内で共有することができないため、担当者が持っていた取引先情報を会社として十分に把握できていないまま退職を迎えるケースもあり得ます。

Eight Teamなら整理しやすくなるが、万能ではない

Eight Teamを利用していれば、管理者がメンバーを解除できるため、無料版よりは退職時の整理を進めやすくなります

社内で共有されている名刺情報があれば、担当者が抜けた後も、一定の引き継ぎをしやすくなるでしょう。

ただし、ここで注意したいのは、Eight Teamでも個人アカウント起点の構造が残ることです。

チームから外すことはできても、その人の個人アカウント自体を会社が自由に処分できるわけではありません。

そのため、退職時の対応をサービス任せにするのではなく、

  • 会社メールで登録させる
  • 退職時はアカウント削除まで求めるのか
  • どの名刺を共有対象にするのか

といったルールを事前に決めておく必要があります。

「名刺を削除すれば終わり」ではない

さらに厄介なのは、名刺データを削除したからといって顧客との接点まで完全に切れるわけではないことです。

紙の名刺でも、一度相手に渡した情報を完全に回収することはできません。

Eightでもこの点は同じですが、EightビジネスSNSとしての性格を持つため、紙の名刺よりも接点が残りやすい面があります。

たとえば、アカウントを残したまま名刺データだけ削除する運用にすると、本人の手元から名刺一覧は消せても、相手側には過去に取得した情報や接点が残る可能性があります。

その結果、会社としては退職者との関係を整理したつもりでも、相手先から旧担当者本人に連絡が届く余地が残ってしまいます。

退職時の論点は、導入前に決めておくべき

Eightの退職時対応は、使い始めてから考えると遅れがちです。

特に無料版は気軽に始めやすいため、会社が把握しないまま利用が広がっていた場合、退職時になって初めて

「この名刺は会社のものなのか」
「アカウントは削除させるべきか」
「相手先との接点はどう整理するのか」

といった問題に直面しやすくなります。

だからこそ、Eightを企業で使うなら、便利さより先に退職時にどう終わらせるかを決めておくことが重要なのです。

Eightの導入前に決めておきたい社内ルール

ここまで見てきたように、Eightは無料版でも有料版でも、会社のルールなしに使い始めると後から整理しにくい面があります。

だからこそ、導入の可否を決める前に「どう使うか」を社内で整理しておくことが重要です。

必要なルールは会社によって異なりますが、少なくとも次の点については検討しておいた方がよいでしょう。

会社メールで登録するのか

まず決めておきたいのが、どのメールアドレスでアカウントを作成させるのかです。

個人が持つプライベートなメールアドレスでの登録を認めると、会社側での統制は難しくなります。退職時や異動時にアカウント削除を求めたい場合でも、実際に対応してもらえたのかが見えにくくなるでしょう。

会社が付与したメールアドレスでの登録を前提にしておけば、そのメールアドレスを使えないようにすれば、アカウントの継続利用に一定の制限がかけられます

Eight Teamを利用する場合でもアカウントは個人起点になります。会社が付与したメールアドレスでの登録を前提にしておく方が、統制は取りやすいでしょう。

無料版の利用をどこまで認めるのか

次に重要なのは、無料版の扱いです。

担当者が検証目的で試すこと自体は有効でも、社内で自由に使い始めてよい状態にしてしまうと、後から整理しにくくなります。

そのため、

  • 無料版の利用は検証担当者のみに限定する
  • 本格運用はEight Teamを前提にする
  • 無料版のまま業務利用しない

といった線引きをあらかじめ決めておいた方がよいでしょう。

会社が検討を始めた時点で、すでに個人的に無料版を利用している人が社内にいる可能性があります。

Eight Teamを導入する際には「会社としてルールを定めたので、アカウントを持っている人は申告してほしい」と呼びかけることも考えておいた方がよいでしょう。

野良アカウントをどう把握し、管理するかも重要な論点なのです。

どの名刺を共有対象にするのか

Eight Teamでは名刺を共有できますが、すべてを無条件に共有すればよいわけではありません。

営業資産として残すべき名刺と、個人の関係性として扱うべき名刺をどう分けるのかは会社ごとに考え方が分かれるはずです。

この基準が曖昧なままだと運用する人によって共有範囲がぶれるため、かえって混乱を招く恐れがあります。

とはいえ、ツールに慣れていない段階で詳細なルールを定めても、現場で十分に理解されない可能性もあります。

最初はわかりやすさを重視し

「会社名義で参加した展示会・商談・営業活動で得た名刺は共有」
「私的な交流で得た名刺は共有しない」

というシンプルな線引きから始める方が運用としては楽になると思います。

重要なのは、「すべて共有」「すべて個人管理」かの二択にしないことです。

最初は大まかなルールで始め、実際の運用を見ながら調整していく方が現実的でしょう。

退職時に何を求めるのか

退職時の対応も、事前にルール化しておきたいところです。

たとえば、

  • Teamからの解除だけで足りるのか
  • アカウント削除まで求めるのか
  • 名刺データの扱いをどうするのか

といった点は、後から個別判断すると揉めやすくなります。

Eightは個人アカウント起点の設計が残るため、会社として整理したい情報と、個人側に残る接点の境界があいまいになりやすいです。

「異動などによって業務を離れる場合には、アカウントの管理について会社の指示に従うこと」の一文だけでも定めていれば、前向きな協議ができるはずです。

ルールを決めてから使う方が、結果的に揉めにくい

Eightは導入してからルールを考えるより、使い方を決めてから導入する方が向いているサービスです。

無料版でも有料版でも、便利さだけを見て使い始めると、後から「誰の名刺なのか」「退職時にどうするのか」「どこまで共有するのか」といった問題が出やすくなります。

逆に言えば、これらを最初に整理できる企業であれば、Eightの強みを生かしやすいともいえるでしょう。

Eightが向いている企業・向いていない企業

ここまで見てきたように、Eightは無料版のまま社内に広がると管理しにくい面がありますが、有料のEight Teamを使えば一定の統制を取りやすくなります。

ただし、それでもEightの「個人起点」「ビジネスSNS」という設計思想そのものがなくなるわけではありません。

Eightが自社に合うかどうかは、名刺をどう扱いたいかで判断する必要があります。

Eightが向いている企業

Eightが向いているのは、名刺を単なる連絡先ではなく、人脈情報として活用したい企業です。

たとえば、

  • 営業活動で担当者同士の接点を重視している
  • 採用やアライアンスなど、人とのつながりが成果につながりやすい
  • 個人が持つ人脈を、ある程度組織でも見える化したい
  • 会社メールでの登録や退職時ルールなど、運用ルールを整備できる

といった企業では、Eightの特性が強みに働く可能性があります。

Eightは、名刺を静かに保管するだけの道具ではなく、人と人との接点を広げたり、維持したりすることに価値を置いたサービスです。

この思想が自社の営業スタイルや組織文化と合っているなら、便利に使える場面は多いでしょう。

Eightが向いていない企業

一方で、Eightが向きにくいのは、名刺をあくまで会社管理の連絡先データとして厳密に扱いたい企業です。

たとえば、

  • 名刺情報を個人に残したくない
  • 顧客接点を会社に一元化したい
  • ビジネスSNS的な機能を業務に持ち込みたくない
  • 無料版の自然拡大を統制しきれない
  • 退職時のアカウント管理まで細かく設計するのが難しい

といった場合は、Eightの強みがそのまま運用上の負担になることがあります。

このような企業では、myBridgeのように、より「名刺の保管・管理」に寄ったサービスの方が合う可能性があります。

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機能ではなく、設計思想との相性で判断したい

Eightを導入すべきかどうかを考えるとき、つい「無料でどこまで使えるか」「共有できるか」といった機能面に目が向きがちです。

もちろんそれも重要ですが、実際には名刺を個人起点で扱うことをどこまで許容できるかの方が、後々の運用に大きく影響します。

Eightは、合う企業にとっては強力なツールです。

一方で、合わない企業にとっては、無料版でも有料版でも管理のズレが起きやすいサービスでもあります。

導入を判断する際は、便利そうかどうかだけでなく自社の情報管理の考え方とぶつからないかという視点で見ておくことが大切です。

会社としての考えがまとまっていないなら、名刺情報を何に使うのかを整理するところからスタートした方が結果的にはスムーズに検討を進められるかもしれません。

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まとめ|Eightは「危険なアプリ」ではないが、ルールがないとズレが出やすい

Eightは、知名度が高く、無料から始められる便利な名刺アプリです。一方で、企業で利用する場合は、単なる名刺管理ツールとして見るだけでは足りません。

無料版は個人で気軽に始めやすい反面、後から整理しにくく、会社が把握しないまま利用が広がると顧客接点や名刺データが個人にひもづきやすくなります。

有料のEight Teamを使えば、会社としての統制はかなり取りやすくなります。

ただし、個人アカウント起点の設計や、ビジネスSNSとしての性格そのものがなくなるわけではありません。

そのため、Eightが向いているのは、個人の人脈や接点を組織でも活用したい企業です。
逆に、名刺を静的な連絡先データとして厳密に管理したい企業では、運用のズレが起きやすいでしょう。

重要なのは、Eightが危険かどうかではなく、自社の情報管理の考え方と合うかどうかです。

無料だから試す、知名度が高いから導入するといった判断ではなく、

  • 会社メールで登録するのか
  • 無料版をどこまで認めるのか
  • どの名刺を共有対象にするのか
  • 退職時に何を求めるのか

といった点を先に決めたうえで使うことが大切です。

そうしたルールを整えられるなら、Eightは便利なツールになり得ます。逆に、ルールなしで使い始めると、便利さよりも管理の難しさが先に出やすいサービスだと考えた方がよいでしょう。

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