「無料で名刺を預けるのは、正直ちょっと不安」
名刺管理アプリ「myBridge」を検討していると、そんな感覚を覚える人も少なくないでしょう。
名刺という個人情報をクラウド上で管理すると聞けば、「本当に安全なのか」「法人で使って問題ないのか」と感じるのは自然な反応です。
一方で、myBridgeは名刺管理アプリとして広く利用されており、実際に業務で使っている企業や個人も多く存在します。
個人でも無料で基本的な機能が使えるため、導入しやすいツールですが、この「無料であること」自体が、「何か裏があるのでは?」という不安を生んでいる一因なのかもしれません。
では、myBridgeは本当に「危険」なのでしょうか。
本記事では、myBridgeに対して「危険かも」と感じやすいポイントを一つずつ整理したうえで、なぜ無料で提供されているのか、そして法人利用においてどこを注意して判断すべきかを、情シス目線で整理していきます。
なぜ「MyBridge 危険」で検索されるのか
myBridgeについて調べていると、「MyBridge 危険」「MyBridge 安全性」といったキーワードが目に入ります。
こうした検索が行われる背景には、実際のトラブル事例ではなく「名刺管理という分野特有の不安」が影響していると考えられます。
名刺には次のような情報が含まれます。
- 氏名・会社名・部署・役職
- 会社のメールアドレスや電話番号
- 場合によっては個人携帯番号
これらは、業務上は日常的にやり取りされているものですが、一括してクラウド上に保存するとなると「本当に預けて大丈夫なのか」と感じる人が出てくるのは自然なことです。
「危険」と検索する人の多くは、具体的な被害や事故を知りたいというよりも、
- 無料なのはなぜか
- 中の人がデータを自由に見ているのではないか
- 法人で使って問題にならないのか
といった漠然とした違和感を言語化しようとしている段階にあるように思います。
つまり、「MyBridge 危険」という検索は、危険だと断定しているというよりも、判断材料を探している行為と捉えたほうが実態に近いでしょう。
こうした前提のうえで、「危険」と思われるポイントについて整理していきましょう。
最大のポイントは「人力補正」?|myBridgeが「危険」で検索される理由
myBridgeの危険性が検索されている背景には、連絡先や肩書、名前などをクラウド上に保管することに対する不安感があると考えられます。
しかし、それ自体は営業管理ツールや顧客管理ツールでも同様です。
名刺管理アプリが、他のツールより「危険性」という文脈で意識されるとすれば、名刺登録時にサービス提供企業による「人力補正がある」という点かもしれません。
オペレーターによる人力補正
myBridgeは、スマホなどを使って名刺情報をスキャンすることで、内容をデータ化して登録してくれます。
しかし、その登録は「リアルタイム」ではなく、読み込みから数分程度の間があります。
同アプリのヘルプページには
基本的には文字の認識技術(OCR)を用いて自動入力しておりますが、システムで入力しきれない部分があった場合、手入力を行っております。
手入力時には、「誰がアップロードしたか」分からないようにしており、個人を特定できないように、すべての名刺情報は項目ごとに分割して入力しています。
と記載されています。
読みとりから登録されるまでの少しの間に、この処理が差し込まれているのでしょう。
機械ではなく“人の手”が入ると聞けば、
- 名刺の内容を第三者が見ているのではないか
- その情報が別の用途に使われるのではないか
- 法人の連絡先が意図せず流通するのではないか
といった懸念が浮かぶのは自然です。
特に、法人利用を検討している場合は、「個人の判断で名刺情報を預けてよいのか」という点が気になるところでしょう。
では、ほかの名刺管理アプリを選べばよいのかというと、そうでもありません。
この人力補正はmyBridgeだけの特性ではないのです。
「人力補正」は特別ではなく、スタンダードな仕様
名刺管理アプリにおける人力補正はmyBridgeだけの特性ではありません。
たとえば、競合として名前の挙がることの多い「Eight」の利用規約には
Eightサービスでは、名刺等の情報のテキスト化処理等について、クラウドソーシングを利用しています。
と明記されています。
クラウド型ではないオンプレミス型の名刺管理も選択可能な「SKYPCE」もホームページで
豊富な開発経験で培ったAI技術と、オペレーターによるチェックを通じて、名刺を99.9%の精度でデータ化。
と謳っています。
画像認識による自動テキスト化では限界があり、名刺情報を正確にデータ化するためには、現在のところ人の手に頼るしかないということなのかもしれません。

「人力補正」は危険なのか|利用規約から読み解く
データ化に際して人の手を介するからと言って、情報が侵害されるわけではありません。
こうしたデータの取り扱いについては、プライバシーポリシーで定められています。
myBridgeのプライバシーポリシーでは取得する情報の範囲について
- 名刺情報(本人・第三者)
- 認証に使用したSNS情報
- 端末情報、ログ情報
などが明記されています。その使い道についても
- サービス提供
- 名刺情報の作成・掲載・照会
- 不正利用防止
- 統計・改善
- 広告・案内配信
- 問い合わせ対応
に限定されています。
少なくとも利用規約上は、名刺データを営業目的で直接利用したり、別サービスに転用するような使い方は想定されていません。
関係者が悪意を持って利用するケースは別ですが、その危険性はクラウドサービスを利用する以上は避けて通れない問題ですし、クラウドサービスではない業務委託先などでも起こり得る問題です。
こうしたツールを導入する際には、必要以上に恐れず、冷静に判断することも重要です。
最後の判断は「運営企業を信用するか」
クラウド型のツールである以上、システム管理者や保守担当者がデータに触れ得る立場にあること自体は多くのサービスで共通しています。
それでも私たちがツールを使えるのは、
- 利用規約で用途が限定されている
- 企業としての信用・ブランドがある
- 不適切な利用があれば事業継続に影響する
といった前提があるからです。
名前も聞いたころのない企業が提供するツールの場合はわかりませんが、myBridgeがトラブルを起こした場合、資本関係のあるLINEヤフーにもダメージが及ぶ可能性も否定できません。
ツールを導入するかどうかを判断する際には、
- 預ける情報の範囲や用途を、組織として設計できているか
- セキュリティ対策(国際認証の取得など)は十分か
といった観点も重要です。
それでも判断に迷う場合、最後に残る基準は「この運営企業を信用できるかどうか」なのかもしれません。

myBridgeはなぜ無料?|「無料=危険」ではない理由
ここまでの章で見てきたように、myBridgeは他の名刺管理アプリと比べて「危険性」を強く感じるような要素は見受けられません。
それでも「myBridge 危険」といった検索が行われる背景には、「無料で使える」という点が影響している可能性があります。
では、myBridgeはなぜ無料で提供されているのでしょうか。
無料プランは「完結した製品」ではなく「入口」
myBridgeの無料プランでは、名刺の登録・管理といった基本的な機能を一通り利用できます。
一方で、
- 組織での名刺共有
- 管理者による統制
- 法人としての継続的な運用
といった用途には向いていません。
実際に使ってみるとわかりますが、無料プランは「これだけで完結する名刺管理ツール」というより、有料サービスを検討するための入口として設計されている印象があります。
登録後に届く案内メールでも、チームで名刺情報を共有できる「共有名刺帳」の利便性や、組織で管理するメリットが繰り返し訴求されます。
myBridgeの本命は、個人向けの無料アプリそのものではなく、
- 共有名刺帳
- 法人・チームでの名刺管理
といった有料サービスにあります。
無料プランで名刺管理の利便性を体験してもらい、「個人で使うには便利だが、法人利用には物足りない」と感じたタイミングで有料プランに進んでもらう。
そうしたユーザーを育てることが、無料プランに与えられた役割だといえるでしょう。

「ニッチなサービスは作らない」|普及を目指す戦略
myBridgeが無料プランを提供している理由として、「収益への導線を作る」という側面があるのは確かです。
しかし、無料プランを用意している理由は、それだけではないかもしれません。
myBridgeはもともと、トークアプリを提供するLINE社内のプロジェクトとして誕生した経緯があります。
当時の幹部がmyBridgeについてメディアのインタビューを受けた際、次のように語っています。
LINE社で目指すのはマス(大衆向け)のサービス。
100万人のサービスを作っても称賛されない。1000万、それ以上の単位になってこないと『よくやった』とはならない。
名刺管理を、一部の業務担当者だけが使うニッチなツールにとどめるのではなく、誰もが当たり前に使うインフラに近づける。
こうした思想を前提に考えると、myBridgeの無料プランは、「短期的な収益」よりも「普及」を優先する戦略の一環と捉えるほうが自然なのかもしれません。
まとめ|「無料=危険」ではなく「自社に合うか」で判断すべき
myBridgeについて調べると、「危険性」や「なぜ無料なのか」といった不安を感じさせる言葉が目につきます。
しかし、本記事で見てきたように、myBridgeは他の名刺管理アプリと比べて、特別にリスクが高い点は見当たりません。
名刺登録時に人力補正が行われる点についても、myBridge特有の仕組みではなく、名刺管理アプリでは一般的な仕様です。
利用規約やプライバシーポリシーを確認しても、名刺データを営業目的で転用したり、第三者に無制限に提供したりするような設計は想定されていません。
また、「無料で使える」ことに漠然とした不安を抱く人もいるかもしれませんが、
- 法人向けサービスへの導線
- 名刺管理を広く普及させるための戦略
という二つの意図が重なった結果と捉えるほうが自然でしょう。
とはいえ、myBridgeをはじめとしたクラウド型のツールは、運営者の環境にデータを置く仕組みであることは事実です。
こうしたツールを利用する際には
- どの範囲の情報を預けるのか
- 情報の使途は利用規約などで限定されているか
- セキュリティ対策(国際認証など)は整えられているか
をチェックしたうえで利用することが重要です。
ツールの思想や設計、運営者を理解したうえで、自社・自分の使い方に合うかどうかを考える。それが、myBridgeなどのクラウド型ツールと向き合ううえで最も現実的な判断軸と言えるでしょう。

